以前に投稿した因数分解のやり方を、一般の場合に公式化することに成功しました!
2021年9月1日の投稿では、高校入試問題を例に、中学生でもできる因数分解の応用問題を解説しました。
内容につきましては、こちらをご覧いただきたいです。
実はたすき掛けを使わずにできる因数分解
まず、タイトルに記載の「分け分け法」は私が以前に名付けた因数分解の方法です。
$x^2$ の係数が1でない2次式を、たすき掛けを使わずに因数分解する、というものです。
「分け分け法」の例
$\ \ \ \ 4x^2-29x+25$
$=4x^2-4x-25x+25$
$=4x(x-1)-25(x-1)$
$=(x-1)(4x-25)$
$-29x=-4x-25x$ と分けているところがポイントです。
xの1次の項をうまく分けることによって、共通因数を作っているのです。
これを一般化したものが、こちらになります。
「分け分け法」拡張版
$a>0$ で、$a$、$b$、$c$ は 互いに素な整数であり、$b^2-4ac$が整数の2乗で表されるとする。
2次式 $ax^2+bx+c$ に対して、特性方程式 $t^2-bt+ac=0$ を定める。
この方程式の2解を $\alpha$、$\beta$ とし(解を1つしかもたない場合は、$\alpha=\beta$ としてよい)、
$a:\alpha$ の各項を自然数で割って最も簡単な整数の比にしたものを $p:q$ 、
$a:\beta$ の各項を自然数で割って最も簡単な整数の比にしたものを $r:s$ とする。
このとき、次のように因数分解できる。
$ax^2+bx+c=\boldsymbol{(px+q)(rx+s)}$
一般化するとかなり難しく見えてしまいます。。。
この方法で因数分解したときにだけ見える世界があります。
比を簡単にしたときの各項が、そのまま因数分解の結果に現れるところが面白いです。
この因数分解の方法は、よく調べてみると、「mathchem」さんのブログに載っていました!
https://marhchem.hatenablog.com/entry/2018/05/08/225423#2%E3%81%9F%E3%81%99%E3%81%8D%E6%8E%9B%E3%81%91
特性方程式を使った表現のところに差があります。
ただ、比を簡単にするところ以降の過程は、どうやら世間にまだ知れ渡っていないようで安心しました。
オリジナル因数分解 「分け分け法」による因数分解の例
それでは、例を3つ見てみましょう。
例①
$4x^2-29x+25$ について
($a>0$ であり、 $a$、$b$、$c$ は互いに素なので、とりあえず準備OKです)
特性方程式 $t^2+29t+100=0$ を解くと、
$(t+4)(t+25)=0$ より、$t=-4、-25$
$4:-4 = 1:-1$ であり、 $4:-25=4:-25$ (この比は簡単にできない)であるから、
$4x^2-29x+25= \boldsymbol{(x-1)(4x-25)}$
比を簡単にする際は、自然数で割ることに注意です。
例②
$18x^2+45x-8$ について
($a>0$ であり、 $a$、$b$、$c$ は互いに素なので、とりあえず準備OKです)
特性方程式 $t^2-45t-144=0$ を解くと、
$(t+3)(t-48)=0$ より、$t=-3、48$
$18:-3 = 6:-1$ であり、 $18:48=3:8$であるから、
$18x^2+45x-8= \boldsymbol{(6x-1)(3x+8)}$
このように、$x^2$ の係数が1でない2次式の因数分解についても、
この方法を使えば、 $x^2$ の係数が1のときの因数分解をするだけで良いことになります。
次の例は高校内容ですが、$x$ についての2次式とみなすことができるので、「分け分け法」で辛うじて因数分解できます。
例③(2段階分け分け(高校生向け))
$6x^2-7xy-3y^2-11y-6$
$=6x^2-7xy-(3y^2+11y+6)$ について
$3y^2+11y+6$ について
($a>0$ であり、 $a$、$b$、$c$ は互いに素なので、とりあえず準備OKです)
特性方程式 $s^2-11s+18=0$ を解くと、
$(s-2)(s-9)=0$ より、$s=2、9$
$3:2=3:2$ (この比は簡単にできない)であり、$3:9=1:3$ であるから、
$3y^2+11y+6=(3y+2)(y+3)$
$6x^2-7xy-(3y+2)(y+3)$ について
($a>0$ であり、 $a$、$b$、$c$ は互いに素なので、とりあえず準備OKです)
特性方程式 $t^2+7yt-6(3y+2)(y+3)$ を解くと、
$\{t+3(3y+2)\}\{t-2(y+3)\}$ より、$t=-3(3y+2)$、$2(y+3)$
(この計算は少し難しいです)
$6:-3(3y+2)=2:-(3y+2)$ であり、$6:2(y+3)=3:y+3$ であるから、
$6x^2-7xy-3y^2-11y-6= \boldsymbol{(2x-3y-2)(3x+y+3)}$
注意すべきことは、必要に応じて次数が2次の項の係数を正にすべきであることです。
$-3y^2-11y-6=-(3y^2+11y+6)$
と変形しているところですね。
他の例については、皆様にぜひ検証いただきたいのですが、
係数が大きくなると特性方程式そのものの因数分解が難しい場合があるため、すべての2次式を「分け分け法」で処理するのは現実的ではありません。
その場合は、(2次式)= 0 の二次方程式を解の公式で解き、その解を利用しましょう。
(もとの式 = 0 を解いても、特性方程式を解いても、本質にはまったく同じです。)
他の様々なサイトに詳しく述べられているため、割愛します。
さらに私が検証に用いた2次式の因数分解のすべての問題で、「分け分け法」のほうがたすき掛けより解答に時間がかかるという結果に。
学校の宿題やテストなどでこの方法を使って解くのは正直オススメできませんが、検算には使えるのかなと思っています。
「分け分け法」についてより詳しく
なぜこの方法で因数分解できるのか?
と疑問を抱かれると思います。
↓こちらの資料に、より詳しい解説や証明を書きましたので、ぜひご覧いただきたいと思います!
「分け分け法」について(PDF)
証明の内容は高校生以上の方におすすめできる難しさとなっていますが、できるだけ中学生にも分かるように説明しています。
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オリジナル因数分解「分け分け法」拡張版
以前に投稿した因数分解のやり方を、一般の場合に公式化することに成功しました!
2021年9月1日の投稿では、高校入試問題を例に、中学生でもできる因数分解の応用問題を解説しました。
内容につきましては、こちらをご覧いただきたいです。
まず、タイトルに記載の「分け分け法」は私が以前に名付けた因数分解の方法です。
$x^2$ の係数が1でない2次式を、たすき掛けを使わずに因数分解する、というものです。
「分け分け法」の例
$\ \ \ \ 4x^2-29x+25$
$=4x^2-4x-25x+25$
$=4x(x-1)-25(x-1)$
$=(x-1)(4x-25)$
$-29x=-4x-25x$ と分けているところがポイントです。
xの1次の項をうまく分けることによって、共通因数を作っているのです。
これを一般化したものが、こちらになります。
「分け分け法」拡張版
$a>0$ で、$a$、$b$、$c$ は 互いに素な整数であり、$b^2-4ac$が整数の2乗で表されるとする。
2次式 $ax^2+bx+c$ に対して、特性方程式 $t^2-bt+ac=0$ を定める。
この方程式の2解を $\alpha$、$\beta$ とし(解を1つしかもたない場合は、$\alpha=\beta$ としてよい)、
$a:\alpha$ の各項を自然数で割って最も簡単な整数の比にしたものを $p:q$ 、
$a:\beta$ の各項を自然数で割って最も簡単な整数の比にしたものを $r:s$ とする。
このとき、次のように因数分解できる。
$ax^2+bx+c=\boldsymbol{(px+q)(rx+s)}$
一般化するとかなり難しく見えてしまいます。。。
この方法で因数分解したときにだけ見える世界があります。
比を簡単にしたときの各項が、そのまま因数分解の結果に現れるところが面白いです。
この因数分解の方法は、よく調べてみると、「mathchem」さんのブログに載っていました!
https://marhchem.hatenablog.com/entry/2018/05/08/225423#2%E3%81%9F%E3%81%99%E3%81%8D%E6%8E%9B%E3%81%91
特性方程式を使った表現のところに差があります。
ただ、比を簡単にするところ以降の過程は、どうやら世間にまだ知れ渡っていないようで安心しました。
オリジナル因数分解 「分け分け法」による因数分解の例
それでは、例を3つ見てみましょう。
例①
$4x^2-29x+25$ について
($a>0$ であり、 $a$、$b$、$c$ は互いに素なので、とりあえず準備OKです)
特性方程式 $t^2+29t+100=0$ を解くと、
$(t+4)(t+25)=0$ より、$t=-4、-25$
$4:-4 = 1:-1$ であり、 $4:-25=4:-25$ (この比は簡単にできない)であるから、
$4x^2-29x+25= \boldsymbol{(x-1)(4x-25)}$
比を簡単にする際は、自然数で割ることに注意です。
例②
$18x^2+45x-8$ について
($a>0$ であり、 $a$、$b$、$c$ は互いに素なので、とりあえず準備OKです)
特性方程式 $t^2-45t-144=0$ を解くと、
$(t+3)(t-48)=0$ より、$t=-3、48$
$18:-3 = 6:-1$ であり、 $18:48=3:8$であるから、
$18x^2+45x-8= \boldsymbol{(6x-1)(3x+8)}$
このように、$x^2$ の係数が1でない2次式の因数分解についても、
この方法を使えば、 $x^2$ の係数が1のときの因数分解をするだけで良いことになります。
次の例は高校内容ですが、$x$ についての2次式とみなすことができるので、「分け分け法」で辛うじて因数分解できます。
例③(2段階分け分け(高校生向け))
$6x^2-7xy-3y^2-11y-6$
$=6x^2-7xy-(3y^2+11y+6)$ について
$3y^2+11y+6$ について
($a>0$ であり、 $a$、$b$、$c$ は互いに素なので、とりあえず準備OKです)
特性方程式 $s^2-11s+18=0$ を解くと、
$(s-2)(s-9)=0$ より、$s=2、9$
$3:2=3:2$ (この比は簡単にできない)であり、$3:9=1:3$ であるから、
$3y^2+11y+6=(3y+2)(y+3)$
$6x^2-7xy-(3y+2)(y+3)$ について
($a>0$ であり、 $a$、$b$、$c$ は互いに素なので、とりあえず準備OKです)
特性方程式 $t^2+7yt-6(3y+2)(y+3)$ を解くと、
$\{t+3(3y+2)\}\{t-2(y+3)\}$ より、$t=-3(3y+2)$、$2(y+3)$
(この計算は少し難しいです)
$6:-3(3y+2)=2:-(3y+2)$ であり、$6:2(y+3)=3:y+3$ であるから、
$6x^2-7xy-3y^2-11y-6= \boldsymbol{(2x-3y-2)(3x+y+3)}$
注意すべきことは、必要に応じて次数が2次の項の係数を正にすべきであることです。
$-3y^2-11y-6=-(3y^2+11y+6)$
と変形しているところですね。
他の例については、皆様にぜひ検証いただきたいのですが、
係数が大きくなると特性方程式そのものの因数分解が難しい場合があるため、すべての2次式を「分け分け法」で処理するのは現実的ではありません。
その場合は、(2次式)= 0 の二次方程式を解の公式で解き、その解を利用しましょう。
(もとの式 = 0 を解いても、特性方程式を解いても、本質にはまったく同じです。)
他の様々なサイトに詳しく述べられているため、割愛します。
さらに私が検証に用いた2次式の因数分解のすべての問題で、「分け分け法」のほうがたすき掛けより解答に時間がかかるという結果に。
学校の宿題やテストなどでこの方法を使って解くのは正直オススメできませんが、検算には使えるのかなと思っています。
「分け分け法」についてより詳しく
なぜこの方法で因数分解できるのか?
と疑問を抱かれると思います。
↓こちらの資料に、より詳しい解説や証明を書きましたので、ぜひご覧いただきたいと思います!
「分け分け法」について(PDF)
証明の内容は高校生以上の方におすすめできる難しさとなっていますが、できるだけ中学生にも分かるように説明しています。
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